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【 相続・贈与サポート 】

  • 身内で相続が発生したが手続が解らない
  • 親が高齢のため相続対策を検討している
  • 資産がたくさんあるため相続が心配だ
  • 持っている不動産を親族にあげたい
  • 子供が家を建てるので援助をしてあげたい など

上記に該当する場合、当事務所に一度ご相談下さい。以下で相続の概要を簡単に解説します。

1. 相続税の概要

相続というと、何を思い浮かべるでしょうか?まず、ドラマなどで「争族」という造語が有名なようにドロドロの遺産分割を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?次に、「●●さんちは、税金が大変だったらしい」というような町内の噂的な相続税の事だと思います。

では実際に相続税の申告をした人はどれくらいの割合なのでしょうか?令和5年12月に国税庁が発表した資料によると、令和4年度中の被相続人数(死亡者数)は約157万人で、このうち相続税の申告書を提出したのが約15万人で全体の約9.6%となっています。相続税の課税対象となる資産を持っている方は100人中、9~10人というのが現状です。

ここで勘違いしてしまうのが、「うちは財産が無くて良かった」と思った95%の方でも相続の問題は発生するということです。税金をたくさん納める方でもスムーズに遺産分割が進むケースはありますし、殆ど分ける財産が無い場合でも、何十年経ってももめているケースもあります。相続人が1人しか居ない場合でも、残されたのが借金だけというようなケースもあるかもしれません。そういった相続の諸問題に加えて、1割の方が相続税の心配が必要になります。しかし、90%に入っているからこそ受けられる有利な規定もありますので、ここでは、相続税の概要を説明をしていきます。

余談ですが、資料によると、相続税に関する税務調査の件数が年8,196件、税務署からの簡易な接触による確認が15,004件となっていますので、単純に考えると、申告書を提出したうちの約2割が調査を受けていることになります。そのうち、申告漏れがあった件数が約1万件となっていますので、相続税の調査があったら何らかの増差税額が生じると考えてよいでしょう。

2. 申告が必要な人

では、実際にいくら以上の財産を持っていれば、相続税の申告をしなければならないのでしょうか?相続税には、「遺産に係る基礎控除額」というものがあり、この金額以下であれば、納税義務も申告の必要もありません。

3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数 = 基礎控除額

相続人が3人の場合には、4,800万円以下の財産であれば、申告の必要はありません。ここで、勘の良い方は、養子をを増やせば基礎控除額が増えると考えるでしょうが、養子の数で上記の算式に算入できる数は、ケースにより1人又は2人に制限されています。上記の算式が、「相続人の数」ではなく、「法定相続人の数」となっているのはそのためです。

3. 相続税の対象となる財産

相続税の課税対象となる財産には、どんなものがあるのでしょうか。現金・預金、有価証券、土地、家屋、動産等は判るでしょうが、それ以外に注意が必要なのは以下のような項目です。

  • (同族)会社の株式・出資金
  • (同族)会社に対する貸付金
  • 生命保険金・(死亡)退職金(一定の金額が非課税となります)
  • 被相続人が支払った保険料で保険事故が発生していないもの
  • 被相続人が積み立てた他人名義の預貯金のうち一定のもの

会社の代表者であった方については、過去に会社に貸し付けた金額(会社の帳簿に載っている役員借入金の残高)や会社に出資した資本金の部分は、金額が多額になっているケースが多いので、特に注意が必要です。「他人名義の預貯金」ついては、旦那さんの収入から、子供の名義で積立をしているご家庭も多いでしょうが、これらのうち一定の場合は、旦那さんの財産とみなされる事があります。

さて、ここでも勘の良い方は、仮に医師から余命1年とか宣告されてしまったら、持っている財産を生きている間に皆に分けてしまえば良いと考えるでしょうが、亡くなった日から遡って3年以内にされた贈与については、それを相続時に加算して相続税の計算をしなければならない事になっています。

また、財産の他に借金などの債務がある場合には、その金額を財産の金額から控除できます。

4. その他

(1)配偶者の税額軽減

基礎控除額の他に「配偶者の税額軽減」という制度があります。これは、配偶者は、被相続人の財産の形成に寄与したこと、被相続人死亡後の配偶者の生活保障、同一世代間の財産の移転であることから、次の相続開始の時期が比較的早期であることが予想されること、等の観点から、配偶者が財産を受け取った場合は、最低1億6千万円(若しくは法定相続分のいずれか多い金額)までは、税金を課さないという制度です。この制度を使えば、税金が課税されない方も多くなるのではないでしょうか。

しかし、この制度自体が上記のような理由で設けられたため、第2次相続も考慮した財産の分配をする必要があります

(2)遺言書

遺言書には主に2つのメリットがあります。1つは遺言者の意思を伝えること。もうひとつは、被相続人本人が遺産の分配を決定すること、です。

意思を伝えるとは、隠し子がいる場合や、密かに蓄えていた財産がある場合など、生前伝えられなかった事を亡くなった後に告白する目的で遺言書を作成します。認知した子であれば、戸籍などから発見することが出来ますが、財産については、本人の告白が無ければ、発見が難しいことがあるからです。

もうひとつがメインで使われることが多いですが、連れ子や長男の嫁、お世話になった人など相続権の無い人に財産をあげたい場合や、相続人間で多少の格差をつけたい場合、事業をやっているので事業承継人にその財産を相続させたい場合などに遺言書の作成が有効です。

(3)養子

養子縁組には、基礎控除額が増加する事のほか、次のメリットがあります。

  • 通常相続権の無い人も相続することが出来るようになる
  • 孫を養子にした場合、世代間の相続を1代回避できる など

(4)争わないために…

「争族」とならないためには、なによりも生前から、関係者全員で話し合うことが一番です。「長男だから貰えるはず」とか「両親の面倒を見たから貰うつもり」と、当人だけが思っていてもあまり意味が無いのではないでしょうか。たとえ兄弟でも、それぞれの家庭にはそれぞれの事情があり、家族もいます。実際に相続が発生すると、当人の意思の他に家族の意思が加わることが多分にあります

ただ、年配の方にとっては、こういった事を生前から相談されるのは、あまり気分が良いことではないかもしれません。しかし、相続や相続税の問題は、生前から対策を取ってないと、いざとなってからでは対応が取れないものです。逆に元気なうちに、ご本人から息子さん娘さんに話されると、他のみなさんもオープンに話せる環境ができるのではないでしょうか?ご自身の遺産で遺族が争うことを望む人は居ないのでしょうから。

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